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報恩講(平成27年) レポート

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10月27日(火)、28日(水)、の2日間。
例年通り、養泉寺の報恩講が勤まりました。

「例年通り」と書きましたが、今年は例年とは変わった部分も多い報恩講でした。
庫裏の工事が云々という事ではなく、シンプルに「そういうタイミングだなぁ…」とすんなりと頷ける様な、そんな感覚が僕にも家族にもありました。

そして終わり、今思う事は、「やっぱり報恩講は必要だなぁ」という事です。
私は、そう思いました。
「いい報恩講だったなぁ」と。

よく「ここ最近はお参りが少なくなってきて…」とか「次の世代にどうやったら引き継げるのだろうか…」とかといった話を聞いたり、私自身もしたりします。
それで随分と悩んだり、焦ったりもしました。
でも、本当に一番大切な事、一番見るべき事は、それとは違うと思いました。
簡単ではありますが、写真と共に、今年の報恩講を振り返ってみたいと思います。


27日は、快晴も快晴。
絶好の天気に恵まれました。

10時から受付け開始。
それに先立って、世話方の皆さんが集合し、掃除やら物の移動やら、手伝って下さいました。
今年は、最初にある様なパンフレットを妻と作成しました(写真は表紙)。
パンフレットといってもごく簡単なもので、報恩講の意味や今後の養泉寺の行事等をまとめたものです。
それと、三条教区からの御遠忌記念品をセットにして、お参りの方に受付けで手渡していきました。

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10時半から法話。
今年は、20年以上に亘って養泉寺の報恩講講師を務めて下さった清水師から、講師が変わりました。
清水氏には、私が小さい頃から本当に家族の様に親しませていただきましたが、今後はまた違った形で関わっていただこうという事になり、昨年の報恩講前にはその旨をお話しし、報恩講後には家族ぐるみで「お疲れ様会」を楽しくさせていただきました。
そして、今年からは、数年毎に違った御講師をお呼びしながら、報恩講を勤めていきたいというのが養泉寺の意見となりました。

今年は、三条市正樂寺の副住職、齊藤師に御講師として出講いただきました。
齊藤さんは私の大学院時代の先輩でもあり、そこからしばらくは会う事もなかったのですが、三条別院で再開し、色々な縁でこの日を迎える事となりました。

「報恩講」とは何か、という、最も根本的な所から、ゆっくりと丁寧に言葉を紡いでいって下さいました。
そして何よりも、御門徒お一人お一人の気持ちや立場に寄り添いながら話して下さいました。
齊藤さん、お忙しい中本当にありがとうございました。

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お斎風景です。

今年の春彼岸より、全て机と椅子のお斎席に変えました。
「お年寄りにはいいねぇ」「楽になった」等、有り難い感想もいただきます。
ただ、ここに至るまでには家族の中で何度も葛藤があり、相談を繰り返してきました。

机と椅子席になると、今までの長机のお斎には戻れなくなります。
今や当たり前となった「携帯電話のある生活」から、昔の様に「携帯電話のない生活」にもう戻れないのと一緒です。

それを家族皆が知っていました。
その上で、どうするかを相談し尽くして、出た結果が、やはり時代に添わざるを得ないだろうという結果です。
どちらにもそれぞれの良さがあり、マイナス面ももちろんあります。
それをすべて総合して、今年の春彼岸からこの様な設えになったのです。
ただ時代に合わせたのではなく、失うものもあるという事を家族全員で確認し、決断をしたのです。

そういう部分が、これ以外にもかなりあります。
とにかく、家族で喧嘩して意見を出し合って、そして一歩一歩進んでいます。
なので、有り難い感想をいただき嬉しい一方で、今までの歴史の中で報恩講を支えて来てくれた方々への、それこそ「恩」を忘れてはならないという思いもあります。
地べたに座り、お斎を食べていたいつかの光景が頭を過ります。

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法中方も集合し、皆で勤めるお逮夜のお勤め。
あるお寺様には、ご夫婦でご出仕していただき、本当に感謝です。

そして、住職による御俗姓拝読。
背中で語っている姿です。

その後、寺院方と法話講師と皆でお斎をいただきました。
最後は熱々のとろろそばでお腹一杯…。

お勝手の皆さん、おいしいお斎をありがとうございました!!

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2日目は、1日目とは打って変わって雨風の1日となりました。
それでも、1日目に来られなかった方々を中心に多くの方にお参りいただきました。

「2日間」というと、今では珍しい方になりつつあります。
報恩講も、1日勤めのお寺が大分増えているからです。
それ自体、良い悪いの話ではありません。
お寺により事情や環境も違い、それぞれにそれぞれの勤め方があるからです。

ただ、この事についても、家族で大分話し合いました。
特に、住職と私とで何度も話しました。
要するに、「1日勤めにする」のか「2日間のまま」なのか、はたまた何か他の形はないか…、という事です。
結果、「2日間のまま」になりました。

寺方や法話の御講師には御足労をおかけしますし、お勝手の方もさらにお願いしなければなりません。
でも、「2日間のまま」にしました。

年によっては、2日目にほとんどお参りがないこともあります。
でも、0人の時はありません。
「1人でも、2日目にお参りしたいという方がいる限り、2日勤めを続けよう」というのが養泉寺の考えです。
幸い、今のところそれが可能な環境にあるという事ももちろんあり、だからこそ出来る事ではありますが、もしもいよいよ出来なくなったらその時はその時で考えるしかありません。
ともかく、それまではこうして2日勤めでやっていこうと思います。

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2日目の法話風景。

1日目もそうだったのですが、今年はなぜか寺方でお参りされる方、また、お友達を誘って来てくれる方が多く、特に2日目は非常にバラエティーに富んだ聴衆となりました。
11組の推進員の方も、2日間を通してお2人来て下さいました。

私も、毎年地元の他のお寺の報恩講に、最低1回はお参りしています。
自分でお布施を包み、寺の敷居を跨いでお参りに参加してみると、色々な発見があります。
それがまた、自分や自坊に何らかの活力を与えていることは確かなのです。

「昔は色々なお寺の報恩講さまに参りましたて~」という様なお話しを聞く事があります。
それをいざ実践してみようとすると、見えない壁があることに気付きます。
でも、とても大切なことなのではないかなぁと、最近特に思うのです。

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2日目は、法話終了後すぐにお勤め。
そして、お参りの方、寺方、法話講師皆で一緒にお斎をいただきました。

これも、今年から変わった所です。
これについては、まだ実験的な部分もあるので、来年はどうなるか分かりません。
「お寺さんと御門徒さんとがもっと気軽に話せれば」と思って、家族で相談の上こうしました。

ただ、なかなかお酒に手を出しにくくなって(笑)
2日目には、お酒も入るといいなぁと思っているので、その点は少し残念でした。
私も、何もなければ飲んでいるところでしたが、夕方に運転する用事があり、今年はお預けとなりました(笑)
そういった反省点も振り返りながら、また、来年に向けて家族や門徒さんと話し合いたいと思います。

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2日間を通してのお斎のメニュー(寺方のみ、1日目はご飯・味噌汁ではなくとろろそば)。
一品一品彩りも豊かで、目にも美味しいお斎でした。

味も本当に美味しく、誰かが「秋の収穫祭」と言っていましたが、本当にその通りだと思いました。
自然と、その中での皆さんの御苦労の結晶と、またそれを調理してくれたお勝手の皆さんの手間暇とで出来たお斎は、報恩講の醍醐味の1つだと思います。

お腹一杯、ご馳走さまでした!!

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報恩講が終わり、普段通りに戻った境内。
静かな空気が流れていきます。

秋になったかと思えば、もう冬が来てしまったかの様な寒さが身に沁みます。

「見ていると思っているけど、見えてなかったものがどれほどあったか」
そんな事を思います。

2日目の法話の中に「忘恩」というお話がありました。
「忘恩の自我の闇」を教えられた報恩講でした。

総決算は第一歩。
養泉寺の新しい1年が静かに幕を開けました。
by yosenji | 2015-10-31 17:00 | 行事レポート(養泉寺)

養泉寺は文禄3(1594)年、信濃国(長野県)水内郡長沼村の歓喜踊躍山浄興寺の僧浄明が開いたお寺です。宗派は真宗大谷派。山号は光澤山。「つやさん」と読みます。


by yosenji
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